ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「は……?」

「リーが、そう言ってた。こっちが照れちまうくらい、自信満々でな」

とくん……
音を立てた胸を、ジャケットの上からそっと押さえた。

「愛されてるな」


とくんとくん、とくんとくん……

でも無理だ。
鼓動は加速度をつけて、柔らかく弾みだしてしまう。
嬉しくて――


「幸せになれよ」

「――っ……はい」
部長の言葉に背中を押されるように、強く頷いた。




「部長が、ライアンとそんなに仲が良かったなんて、全然知りませんでした」

一緒に廊下へ出たところで、何気なく口にした疑問に、
私より頭一つ分以上上にある太めの眉が、「いや」と、わずかに下がった。

「別にいいわけじゃない。あいつが『親友の危機を救ってくれ』ってごり押ししてくるから……」

「あいつ……って拓巳さんですか?」
部長にとっては、義理の弟にあたる人。
でも、そんな無理を通す性格には見えないけどな。

「拓巳じゃない。その……カレントウェブの営業部長だ。知ってるか?」
ゴホゴホっと、部長はなぜか咳払い。
空気が乾燥してるんだろうか?

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