只今、愛の診察中につき。

「あ、あのぉ…」

料理を運び終えた後もウエイトレスはこの場から離れようとせずにチラチラとこちらを見ながらモジモジとしている。

響はそんなウエイトレスガン無視でドリアを食べることに夢中。

彼氏はそんな響をガン見するのに夢中。

ハァ。と重いため息を吐いた俺は

「なにか?」

不愉快全開オーラを放ちながら応えたのに
そんな俺の不愉快さに気付こうともしないウエイトレスは、

「叶さんですよねっ?『レックス』の!わ、わたし何回かお店に行ったことあって!あのっ、ファンなんです…っ!」

「あー…、そうなンスか。ありがとうございます。またお店に来てくださいね」

『レックス』とは、俺が務めているロックバーの店名だ。

俺はただの従業員のひとりにすぎないのに、何故かこうして俺の『ファン』という人達が何人かいる。

悪い気はしないけど俺的にはファンなんて要らない。

ーー響さえ振り向いてくれたら…
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