只今、愛の診察中につき。
チラリと響の方を見やると、まだアツアツのドリアと懸命に格闘していた。
届きそうになると、いつも遠くへ行ってしまう。
昔から恋愛対象として見られていないのはわかっている。
けど、でも、この俺の響への恋情は燃え尽きる事はなくて、
「ーーおい。なに見てる」
彼氏の苛立ちをはらんだ声にハッと我に返った。
俺に投げ付けられた言葉かと思いきや、奴が睨み付けていたのは、ウエイトレス。
…まだ居たのかよ。
ウエイトレスは、何故だか響のことを獲物を狙う蛇みたいな鋭い目で睨んでいたのだった。
そのウエイトレスは、奴の怒りにビクリと肩を揺らし、
「しっ、失礼しますっっ」
と、そそくさと去っていった。