課長、恋しましょう!
まあ……なんだ、やっぱりああいうのはコイツでも響くもんなのか。

「……あんま気にせんでいいと思うぞ。ああいう男は、結構いるからな。引きずるだけ損っつぅもんよ」

「……」

黙って見つめてくる彼女の瞳が、「見てたんですね?」と訴えていた。まるで「見てたなら助けてくださいよっ」って俺を非難してるみてぇだ。

俺ぁ頭を掻いた。

「つぅかなんでお前、アイツ断ったんだ? 女の目からしちゃ、かなりいい男だろがよ?」

「そりゃあそうですけどね。彼、結構人気ありますし。でも課長、男は顔より大事なものがあるんですよ?」

「ほー? なんだ? 金か?」

「いえ、抱き締めてくれた時にとってもあったかくてやぁらかい、ぷにぷにしたついた贅肉です」

「……お前、それ嫌味か?」

俺今、マジで頬がひきつったぞ。

店のオヤジが、さば味噌定食を二膳運んでくる。

俺らは揃って箸を割った。
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