幼馴染は恋をする
「僕、今日はお泊まりしたい。ねえ、お父さん、駄目?」
「恵和、急にどうしたんだ」
「ネコチャンいるし、ともちゃんのお姉ちゃんも今日は泊まるって、まだ居たい」
「いや、しかし、何も持って来てないし…」
「一晩くらい大丈夫だろ」
…お父さん。
「嫌になったら連れて行ける距離なんだ、心配はいらないよ、なぁ、武蔵」
武蔵は猫の名前。アメショーの武蔵。お父さんの膝の間ですっかり寛いでいた。私と姉が家を出てしまったこともあって飼い始めたという。…まさに、猫かわいがりの状態だ。喉を撫でられてウットリしている。
「朝…」
「何?お母さん…」
「二人でゆっくり過ごしなさいって、口では言えないけど、気を遣ってるつもりなのよ、お父さんも。お母さんはそう思ったわよ」
「え?…ぁ」
小声で囁かれた。まさに…そういうこと?自分でも考えていたのもあって恥ずかしくなった。
「朝?」
これは柳内さんの問いかけだ。
どうするか、私に決めて欲しいのだと思う。泊まることはほぼ確定しているようなものだ。柳内さんが返事をすると、“是非”お願いします、なんてうっかり思いを露にしてしまいそうだからかも知れない。…どうなのかな。
「恵和君、本当に大丈夫なの?」
「うん、武蔵とおじさんと寝るから」
…お父さん、声には出さなかったけど、何だか嬉しそうだ。
お父さんもお母さんも分け隔てはない。それは私がよく知ってる。恵和君が…私の子供でなくても恵和君は恵和君として可愛がってくれるだろう、そういう人達だ。
「じゃあ。……お泊まりする?お願いします」
チラッと柳内さんを見た。
「あ、お世話をかけますが、お願いします」
「大丈夫だ、な?」
「うん」
「ゆっくり二人で話す時間もないでしょ?」
あ。そういう意味で。……。
これで今夜は二人っきりということになった。
……親公認というのが変に恥ずかしい。勿論、親は、普段ゆっくり話しもできないだろうから、話すといいって意味でのこと。…私は。それ以上のものを意識せずにはいられなかった。