幼馴染は恋をする
いつでも連絡してください、迎えに来るので、と挨拶をして、実家を出た。バイバイって恵和君に手を振られた。
家から少し離れてから柳内さんに手を繋がれた。…あっと思わず驚いてしまった。
「…ごめんなさい、…恵和君のことを考えていて、…びっくりして」
「…いや、悩まなくていいからね」
「え?」
「んん?二人で居るからってさ。…その、…そういうこと…。おじさんが相手だと…なんだか……ね」
今日は仕事帰りで時間に間に合わせた柳内さんはふぅと息を吐きネクタイを少し緩めた。
「お疲れ様でした。お疲れ様なのに」
「ん?あぁ、そんなことはないよ」
こんなこと、正直に、疲れた~て、言っちゃうのが子供で、大人は言わないものなのかな…。
「ん?ハハハ、深読みはしない。心底疲れた時は疲れたって言って甘えるから」
「…はい」
「……この辺り、こんな風に朝と歩いてるなんて不思議だな…」
「あ、はい。そうですね」
「俺は、まっ、たく、噂なんて知らなかったけど。…知らない内に変質者扱いだもんな。人のテリトリーが違うと、全く耳に入って来ないもんなんだよな。…おじさんと制服を着た女の子だもんな…、目にしたら何かあるのかって、大人のやらしい見方だよな」
「すみません。噂を無責任に広める人が居るらしくて。…私がちょっと、目を引いてしまうっていうのもあるらしくて」
「…朝は……綺麗だからな」
「え゙?」
「え゙?そんなに驚くことか?まあ自分で綺麗だなんていう人も稀だけどな…。朝は可愛い、…綺麗だよ」
「ぁ、私…、色が白いのも、髪の毛が明るいのも気にしたことがなくて。…………もしかしたら、一度も会ったことのない父親のものなのかもしれません」
「うん、俺も気にしたことはなかったよ。矛盾してるかな…確かに目は引くといえば引くだろうから」
「このことで虐められたことはなかったです。初めて貴浩君に会った時も、貴浩君は何も言わなかったし、普通に接してくれました。
お互いが、おかしいんですよ、会うのは男の子だって貴浩君は思ってて、私もきっと女の子がうちに遊びに来るんだって思ってて、それが会ってみたらエーッて思っちゃって。誤解してた気持ちを話し合って。……あー、なんだか懐かしい…」