幼馴染は恋をする

「……朝、一緒に風呂、入るか?」

「えー」

「ハハ、じゃあ止めよう」

あ。……。

「ご、ごめんなさい」

……いきなりで心の準備が。

「いいんだよ、これも一つの探り?確認?ハハハ、種明かし、しちゃ駄目だよな。いいんだ、気にしないで。じゃあ、先に入るから」

「……はい」

意識しないつもりでいたのに。……はぁ、全然駄目。色んなこと、いつかはって、思ってるのに。柳内さんが我慢してるのもよく解ってる。私だって、……沢山触れて欲しいと思ってる。それは嘘じゃない。…先に全部、思い切って見せてしまった方がいいのかな…。や、無理無理。恥ずかしい。

柳内さんがあがって来た。
お水を飲んでる。柳内さんは家ではお酒は飲まない。それは一人だけ大人だからかも知れない。大変なほど飲んで帰って来ることもない。何もかも、我慢してるのかも知れない。

「私も入ってきます」

「…あ、うん」

柳内さんはお水をもったまま、寝室に行ったようだ。

色々と考えていたら長風呂になっていた。
温まり過ぎた体でベッドに滑り込んだ。

柳内さんは眠っていた。疲れたのだろう。仕事帰りから、そのままうちの親に会ったんだから。ニコニコ言葉を交わしていても、ご飯だって美味しく食べられてたかは正直解らない。
本当、恵和君のような子供なら、楽に、無邪気にいられるのだろうけど。
歳上で、男の人だから、責任は全部自分にあると思ってくれてるのだろう。

「…柳内さん。ごめんなさい、私、何もできなくて…」

寝顔を覗き込むようにして頬に思わず触れた。…冷たい。
こんな顔をして眠ってるんだ。…私、恥ずかしくて、ずっとちゃんと顔を見れてないかも。雰囲気だけ感じてるかも。
……私の、大好きな男(ひと)の顔だ。はっきりした、男らしい顔をしている。私はこの責任感のある顔に惹かれたのかも知れない。…マスクは甘いのに。
…離婚してからモテたんじゃないのかな…。今まで考えたこともなかった。でも、恵和君が居るからって、思うようにならなかったのかも知れない。何より恵和君が大事だからって。

「……朝、いつまでブツブツ言ってるんだ?…体、あったかいな、ん。よくあったまれたのか?」
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