幼馴染は恋をする
「何?モテてるとでも思ってくれてた?」
「はい。私、今までそんなこと、考えてみたこともなくて。迂闊でした。私が格好いいって思ってる人なんだから、危ないって。思いついたらどうだったんだろうって」
「気になったのか?」
「はい」
とられちゃうとでも思ってくれたか。なんて可愛いことを……思ってくれたもんだな。
「……そんなこと、あるはずがない。俺は…仕事して、恵和はその間、怪我はしてないだろうか、風邪ひいて帰って来ないだろうかとか、考えて一杯一杯だ。それに俺には心の支えになる朝が居た。
……早く大人になってくれって、願っても時間は早く進んでくれる訳じゃないけど。高校を卒業するまでは一分でも時間の経過が早くなればいいのにと思った。……今はゆっくり時が過ぎればいいと思ってる…」
「柳内さん…」
「俺が歳をとるスピード、遅い方がいいだろ?……朝、俺はね、朝が居たいと思う時まででいいと思ってるから。それだけで充分幸せだ。…いい大人が、退けばいいものを……朝と居たいって欲が出たから、…負けたくなかった。こうして居られるようになって…俺は幸せだ。十年も二十年も、もし一緒に居たら、朝は俺のことを物足りないと思うかも知れないからね。…ん、こんな話は、こうなる前に話しておくべきものなんだ。朝に現実をよく見るように、大人の俺が諭すべきものだったんだよ。
だから俺は狡いんだよ?何も話さず、朝を掴まえた。止めておけって、強く否定しなかった。曖昧に接触して……印象だけを残した。大人は、俺は狡いんだよ?」