幼馴染は恋をする
今度こそ正々堂々と、にだ。…嘘だ。黙って置いて来るような事はしないってことだけに対してだけだ。そこだけ正々堂々とだ。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、柳内さんのことは知らない。柳内さんのところに行くことも、柳内さんの為に作ることも今は言ってない。
明かりがついてる。……はぁ。また迷惑かな。でも来ちゃった。……んー、中々押せない。
ピンポン。…ぁ、…。
「はい」
柳内さん…。
カチャ。
「あ、…朝ちゃん…どうしたの?」
……あれ?恵和君居ないのかな。
「…あの、また突然勝手に来てごめんなさい。お休みの日なら居るかなって…。これ、今度はお菓子じゃなくて、おかずです」
…持っている袋を見せた。
「今日は恵和、居ないんだ」
「そうなんですか…」
なんか静かだとは思った。飛び出して来てくれないなって思ってたから。
「母親と会ってるんだ。多分今日で最後になるんだ。…あ、……ん、大丈夫かな…ちょっと入る?」
え?いいんだろうか…言ってもらえたことは嬉しいけど……どうしよう…。
「こうして話してるとそれも人の目があるし、……中っていうのも難しいか…」
「…あ」
柳内さんも迷ってるんだ……。開けてもらってるドアの間から潜るようにして入った。
「あ。……上がる?上がって。そうだね、少し話そうか」
「あ、はい。あ、これ…」
もらってくれるかな…。
「有り難う。今日は一人だから適当に…なんならビールとつまみくらいで済まそうかくらいに思ってたんだ。……座って?」
「あ…はい」
もらってくれた。袋をテーブルに置き、キッチンに行くとやかんを火にかけた。
「前の、クッキーも貰いたかったな。せっかく作ってくれたのにね。…ごめんね、あんな風に……傷つけちゃったよね」
あー、……。
「ごめんなさい」
「なんで朝ちゃんが謝るの?全然謝ることじゃないじゃない。……まあ、こういうことが良くないって、俺も思ってるからなんだけどね」
あ、柳内さん、俺って言った。
「ん?」
「あ、何でもないです」
「…ミルクティー、好き?」
「あ、はい、…好きです」
「良かった。スティックのならあるから。あー、今はタピオカミルクティーが流行ってるんだったね。外に出てる時、女の子達が『ばえる』?とか言って撮って、歩きながら飲んでるのをよく見かけるから」
「そうですね。みんなそればっかり飲んでます」
「朝ちゃんも?」
「え?わ、私は、一度飲みました。人に合わせる事もあるけど…、カフェラテの方が好きで、特にタピオカは要らなくて…」
「なんか、らしいね。朝ちゃんの何を知ってる訳じゃないけど」
「前に…」
「ん?」
「恵和君が休んでるって言ったのも…」
「あー、そうだね…あの時も母親に会う日だった」