幼馴染は恋をする
「あ、あの。こんな風に、これからも持って来てもいいですか?……今日はもらってもらえたけど。やっぱり私のしてる事は迷惑ですよね?いつ持って来るか言ってなくても困っちゃうだろうし。今日は偶々…もらってもらえたけど。それに…ご飯だけじゃなくて、………私…」
「どうしてこんな風にしてくれるの?」
じんわり汗が出た。
「……あ、…それは……」
どうしてって…。それは…。
「恵和を可愛いと思ってくれてるから?」
「あ、はい、恵和君は可愛いです、凄く可愛い…」
答えやすい質問は淀みなく答えられる…。
「俺と恵和が二人で大変そうに見えたから?」
「それもあります。病気の時に会ったから。それは凄く…恵和君も熱があってしんどいだろうし、柳内さんも…気持ちもしんどいだろうなって。生活してたら何もない日ばっかりじゃないだろうって。お仕事も普段大丈夫でも、突発的な事もあるんだなって。私にしてみたら、その僅かな何日分しか知らないけど…」
「だからお手伝い?」
あ……ちょっとした気まぐれ…軽い気持ちって思われてる…。
「お手伝いっていうか、……私でできること、何か役に立てることはないかなって思って…」
余計なお節介…。
「どうしてそこまでしようと思ったの?」
……中学生のすることだから。私の気持ちは上手く伝わらないかも知れない。
「困ってるなら、私にできる事が少しでもあるなら、押しつけかもしれないけど、したかったから。…やっぱり自分勝手な押しつけですよね」
「あの子の事は好きじゃないの?」
「え?」
「あの子」
貴浩君のことだ。
「貴浩君のことですか?貴浩君の事は好きです。それは上手く言えないけどちょっと違う好きっていう好きです。ずっと一緒だから。いつも助けてくれて…いつの間にか私が頼って甘えてばっかりになってます」
柳内さんに対するものとは違うと思う。好きという言葉を誤解されたくない。
「…ん。…」
「あの…私…」
言うなら今しかない。だって…。
「あの子に限らず、朝ちゃんはこれから沢山の人に出会って、好きって言われるかも知れない」
「あ、え?そんなこと、ないです、解らない」
どうしてそんな…あったとしても…。貴浩君のことを聞いたりして……逸らそうとしてる?
「解らないから、楽しいんだよ」
やっぱり言わせないようにしてる。
「そんなことは。……私、あの、」
そんなこと言われても解らない。
「ワクワクしなきゃ。こんな風に人に言われても解らないだろうけど、今からが凄く大事な年齢なんだよ?人格がほぼ確立される…多感で、意味なく妙に楽しかったり、逆に毎日つまらなかったり、実はそれが結局良かったり。経験することが新鮮で残酷だ。……実感がないからね、いくら話してもピンと来ないだろうけど。こういう物って、過ぎてしまわないと解りにくい物だからね」
「…はい」
何も経験しない内に…決めちゃ駄目だって…。見る目を広げろって…。
「フ、やっぱりピンと来てない返事だね…」
「あ、……はい。すみません」
解るけど…。今までこんなに会話が長く続いたことない、それくらい話はしてるのに、話すことは…遠回しに、こんなに駄目だって言われてるんだって…。