幼馴染は恋をする

「頭と心は別だと思う?」

「…え?あ、それは違うと思います」

「じゃあ、どこにあると思う?…心」

心は…。胸に手を当てた。

「ここにあると思います」

「何故?」

「……ドキドキしてるから」

好きだと思ったら、ううん、思う前より先にキュッてなるから。今だって、来る前だって、ずっとドキドキしてる。勝手に強く速くなってる。

「どうして…切なさをドキドキに結びつけてしまうんだろうね。ドキドキしてるのは、物理的…心臓が動いているからだ、その音、シンドウだ」

「ドキドキとトクトクは違います」

「うん…、それは頭からの指示だ。それで速くも強くもなる。びっくりしてもそれが反応して伝達してるからだ。もしくは激しい運動をしたせいだ。脳の誤作動だとも言うよ?…切ない、好きという感情…」

「難しくて解らなくなります。それは理屈です」

「そうなんだよ、理屈も理屈、屁理屈なんだよ。好きは語るもんじゃないんだけどね。
頭と心。理屈じゃなくて、感情なんだ。でも感情は脳が作り出す。決して勝手に心臓がドキドキする訳じゃない。そして感情は暴走する。自分ではどうしようもできない、止められない。駄目だと思えば思うほど加速する。……そういうことが伝わってドキドキさせてしまうんだ」

……いつの間にか、好きの話になってるのはなぜ?

「無理して我慢したら爆発するかも知れないな……それも怖い…」

「え?」

「…ん?いや、なんでもないよ。あー、そろそろ帰った方がいいんじゃない?大体帰る時間が解っていても早く戻ってくることもあるからね。まさに予定は未定。狂うものだよ?…さあ」

「…はい…」

でもって言って居られる理由がない…。

「ごめんね。よく解らない話になって。またおいでとも言ってあげられない。食べてみてはないけど、きっと上手くできてるはずだ。ちゃんと頂くからね。有り難う。
偶然会ってしまうのは仕方ないけど、もうここには来てはいけない。いいね?」

あ。……甘かった。ちょっと部屋に上げてもらって、話をしようと言われたから、私は…勘違いしてしまった。来るのはいいものだと思おうとしていた。

「…解りましたって、言いたくありません」

「朝ちゃん…」

「嫌です、また来ます」

これが子供だ。
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