幼馴染は恋をする
大人…、大人、大人。大人の話ばかり…。でも、これを嫌って思っては大人の人と恋なんてできない…。

「…あまり遅くならない内に帰った方がいい。悪いけど送れない。うちもいつ恵和が帰ってくるか解らないからね。留守にはできない」

「…どうして離婚したんですか?」

…あ、…私、何聞いてるんだろう。

「それは話せないな。大人の事情だから」

「大人のって言えば、何でも都合がいいですよね、子供にはまだ早い、言っても理解できない、解らないことだからって言えばいいんだから」

「…違うよ?朝ちゃんには、聞かれても話す必要のないことだからだよ。夫婦のことだ。他人の離婚の理由は知らなくていい、そういうものだよ」

私は関係ないから。

「解りません、解りましたって言いたくないから、返事は解りませんにします。……帰ります」

聞いちゃいけない、そんなことなのに。ズカズカと踏み込んでしまった。

「うん、気をつけて帰るんだよ?」

「…解りません。どんなに気をつけていたって、連れ去られることもあります。私がどんなに抵抗したって限界があるんです」

「朝ちゃん…?」

「大丈夫です、まだ明るいです、気をつけて帰りますから」

「…何かあったの?そんな経験…」

「それは話せません。私の事情ですから」

…あ。…やり返したとも思わない。偶然だ、言葉が似てしまったのはただの偶然。本当に話したくないと思ったから。自分にとって嫌なこと…簡単には話せない。……そうだ、柳内さんだって簡単には話せないことだ。どうして離婚したのかなんて勢いで聞くことじゃなかった。私はどうかしている。…やっぱり子供だ。

「…おやすみなさい」

「じゃあ、おやすみ。有り難うね…」
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