幼馴染は恋をする
あ。…こんな時間に来てたのか。……寒いだろうに、それに何より危ない。
見て見ぬふりをしようかと思った。…。だができなかった。
「…朝ちゃん」
「あ」
余程驚いたのだろう。まさか、会うなんて思ってなかったのだろう。俺も今日は遅くなった。恵和は麻衣が迎えに行って今日は戻らない。
「…こんな時間に。駄目だよ。…いつもこんな遅くに来てたの?」
「今日は…こんなに遅くなんて、来たのは初めてです。いつもは大体朝…来てますから」
「…少し、話さないか?」
「え?」
「帰りは送るから」
「あの…部屋に入ってもいいんですか?」
「いいよ、構わない」
…動揺してるな。そうだろう、いきなりこんな風に言うなんて。しかも、会ったのはほぼ三年ぶりだ。
「…怖い?」
「違います。………どうしてなんだろうって」
「…うん。…どうしたんだろうね」
「え?」
「あと少しなんだね、三年生だからもう卒業だね」
「…覚えてくれてたんですか?年齢…」
「覚えてるよ…三年前に会ったんだ。…忘れる訳ないだろ?」
「あ。……嬉しい、…嬉しいです」
……あ、泣いてしまいそうだ。
「部屋、入ろう。寒いから。…大丈夫だから」
…怖いだろうな、…。
「無理にとは言わない…」
「……はい、じゃあ、少しだけ…」
警戒というより、やはり戸惑っている。促すようにして部屋に連れて上がった。
「寒いだろ?直ぐ温めるから…」
「大丈夫です。あの、恵和君は?…」
「うん、今日は居ない。ごらんの通り、帰りが遅かっただろ?今日はあっちなんだ」
「あっち。……まいさんのところですか?」
「麻衣の名前、よく知って…あ、そうか、あの時、恵和が言ったんだったね」
「はい」
「よく覚えていたね」
「それは柳内さんのことだから、どんなことも忘れません。て言えるほど、情報量は少ないですけど。だから余計忘れたりしません」
「あ、コーヒーでも入れよう。あ、コーヒーは…」
「大丈夫です、コーヒーで。飲めます。無理はしていません、飲めます」
「そうか……なんだか歳月だね」
単純に、これだけでも大人になったんだと思えた。