幼馴染は恋をする
「別れた元奥さんだけどね、務め先の店長と結婚するらしいんだ。恵和の親権は向こうが持っていてね、親権て解るかな。だけど面倒は俺がみていたんだ。仕事がね、子育てしながらって難しいから。俺はフレックスって解るかな、勤務時間を自由に組めるんだけど、離婚する時、転職してそういう風にできる会社に入ったんだ。だから恵和に合わす事が大体できたんだ」
「解ります、親権も、フレックスも」
「…うん。今、恵和を引き取りたいって言ってきてる」
「恵和君…いなくなっちゃうんですか?…そんな…」
恵和君はどう思ってるんだろう。
「俺は恵和は俺と一緒の方がいいんじゃないかって言ってるんだ。そりゃあ、母親の方が、ご飯にしたって上手く作れるし、男親だと駄目な面て多いとは思うんだ。だけど、…なんていうかな…解らない話だけど、子供を連れた状態で結婚に至ってない訳だ。変な言い方になるけど、恵和を世話しながら恋してた訳じゃない。そんな状態の関係で引き取ったら、母親といえども恵和を邪魔に感じる事があるんじゃないかって。…はぁ、余計な心配かも知れないが、そう思うと渡せないんだ。だけど、条件が揃えば駄目だとも言えない」
「どうなるんですか?…一番大事なのは恵和君の気持ちじゃないでしょうか」
「朝ちゃん…そうだよな、そうなんだ。親の都合で離婚して、あっちに行ったりこっちに行ったりじゃ恵和が不憫だ」
「恵和君はどうしたいって言ってるんですか?」
「まだ、話してないんだ。親同士の話だけで…」
ブー、…。
「あ、ごめん、電話だ。…恵和だ」
「出てください」
「うん。ちょっとごめん。
もしもし、どうした?」
「お父さん、もう帰ってる?仕事、終わった?」
「帰ってるぞ。どうしたんだ?」
「お家、帰っちゃ駄目?」
「どうしたんだ?」
「…帰りたい」
「…あ」
(なんて言ってるんです?)
(帰りたいって言ってる)
「お母さんがいいって言ったら帰ってもいい?」
「恵和、お母さんに代われるか?」
「うん、ちょっと待ってて」
「うん。
どうやら何かあったのかも知れない。迎えに行くことになるかも知れない。…あ、もしもし」