幼馴染は恋をする
ピンポン。
「は~い」
カチャ。
「はい…どちら様でしょうか…」
「突然お伺いして申し訳ありません。御主人様はご在宅でしょうか」
「あの…どういったご用件でしょうか。あら、可愛い、ボク、いくつ?」
「九歳です」
「そう、九歳なの、しっかりしてるのね。あ、ごめんなさい、はい」
「……私、柳内と申します。この子は私の息子で恵和と申します」
「恵和です」
「偉いわね、名前も言えるのね。あの、それで主人に…あぁ、主人は居りますけど」
「娘さん、朝さんのことでお願いにあがりました」
「え?朝のことで?あの、娘が何か、したのでしょうか、ご迷惑をおかけするようなことでも」
「いいえ、そういったことではありません。
私と、結婚を見据えたおつき合いを承諾して頂きたく、息子も連れてお願いにあがりました」
「えっ?!……あ、あの、え?ちょっと、ちょっとお待ちくださいね。…お父さん!…あなた…剛憲さん」
パタパタと廊下を走って行った。
「お父さん…おばさん、びっくりしてたね。お父さんて、何人居るの?」
「ん?あぁ、一人だよ、呼び方が色々違っただけだ。お父さんと恵和が急に来たから驚かせてしまったんだ」
「ともちゃんは?」
「うん、居ると思うよ」
「ともちゃ~ん!」
「あ、こら、静かにしてるんだ」
襖の開く音、閉まる音、また開く音が聞こえて来た。
足どりは速い。姿が見えた。間違いなく朝ちゃんのお父さんだろう、後ろにお母さんが付いてこちらに来ていた。俺は頭を下げた。
トントントントンと階段を急ぎ下りて来る音も聞こえて来た。朝ちゃんには今日来ることは言ってない。
「あの、何かの間違いでは。一体どういう…妻が言うには…あぁ、私は朝の父親の…」
「お父さん!…柳内さん…」
「あ、ともちゃん!」
玄関先に一塊になった。
「朝。…どうやら知らない人ではないようですね…とにかく、上がってください。ここではお話はできないですから」
「はい、有り難うございます。…失礼します」
丁寧に脱いだ靴を脇に寄せ、後に続いて歩いた。
「朝……、男の子と一緒に居なさい。ボク、お姉ちゃんと一緒に居てくれる?」
「うん、ともちゃんと居る」
…。
「随分、慣れてるみたいね。とにかく、どういうことなんだか、何がなんだか…」
お父さんと柳内さんは客間に入って行った。
「話はあとでね、とにかくお茶を出して、お母さんもあっちに居るから」
「はい」
「ともちゃん……」
袖をツンツンと引っ張られた。恵和君が見上げていた。