洗脳学級
「あ……」


美世の殴った右手がジンジンと熱を持ち、痛む。


「美世、大丈夫?」


呆然としていた佑里香が我に返り、美世を助け起こした。


美世は顔をしかめて頬を押さえている。


「ご、ごめん美世。あたし……」


美世はあたしの言葉を聞かず、病室を出て行ってしまったのだった。


「……わかるよ、麗衣の気持ち」


美世がいなくなった病室内、佑里香があたしスマホを拾ってそう言った。


「え?」


「あたしも今、あのアプリを消されたらどうなるかわからない」


「佑里香……」


「あたしたち、もう戻れないところまで来てるのかもね」
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