“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「それで、何か用事?」

「あ、そうでした。石鹸を作りましたので、アリアンヌお嬢様に使っていただきたいな、と」

「まあ、本当に?」

「はい。こちらが、ローレルを使った石鹸となります」

ローレルが肌に与える効能を説明していると、アリアンヌお嬢様の瞳がキラキラと輝く。

「では、今から石鹸を泡立ててみますね」

「石鹸を、泡立てる?」

「はい。実際に見たほうが、わかりやすいかもしれません」

小さな円卓を持ってきて、その上にたらいを置いて石鹸を泡立てる。アリアンヌお嬢様は、興味津々とばかりに覗き込んでいた。

「え、嘘……! 石鹸が、こんなにホイップクリームみたいに泡立つなんて!」

この世界の石鹸はほとんど泡立たない。前世の記憶が戻っていなかった私はその事実に苛立ち、泡立つ石鹸を求めて雑貨屋巡りをしていた。

思い出せば前世も、ふわふわモコモコの石鹸が流行ったのは私が中学生くらいだったような気がする。それまで、石鹸の泡立ちなんて気にしてなかった。

ただ、このモコモコの石鹸を知ってしまったら、他の石鹸なんて使えない。そんなことを考えながら、どんどん石鹸を泡立てていく。

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