“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
両手に作った石鹸の泡を、アリアンヌお嬢様に差し出した。

「どうぞ、アリアンヌお嬢様」

「え、ええ。これは、触ってもいいの? 萎まない?」

「大丈夫ですよ」

「では、失礼するわね」

そう言ってアリアンヌお嬢様は黒い手袋を外し、指先でちょんと泡に触れる。

「わっ、ふわふわ!」

続いて、撫でるようにポンポンと手のひらで触れた。

「嘘みたい。なんて、滑らかなの。それに、泡に、触れられるなんて、夢のよう……」

アリアンヌお嬢様は石鹸の泡を手に取って、うっとりとした表情で香りを吸い込んでいる。

「ローレルはあまりいい香りではないのですが」

「わたくしは、好き」

「よかったです」

どうやら、ローレル石鹸はお気に召してもらえたようだ。

手を洗ったあと、アリアンヌお嬢様は「ほう」と息をはきながら手の甲や手のひらを見つけている。

「石鹸で洗ったあと、肌がしっとり潤ったような気がするわ。それに、くすんでいた肌もきれいになったような」

メアリーさんもアリアンヌお嬢様の手の甲を覗き込み、「ええ、本当に」と言って同意する。
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