“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
王都に到着すると、まっすぐ市場に向かった。

「薬局ではないのだな」

「ええ。ヘアパックに必要な品物のほとんどは食材です」

まず、もっとも重要なのは、卵だ。なるべく新鮮な物を購入する。続いて、生クリーム、レモンを購入する。他に、ローズイリスの精油とオリーブオイルとホホバオイル、スイートアーモンドオイルを使用する。荷物はもれなくミシェル様がすべて持ってくれた。

「せっかくなので、リンスの材料も買っておきましょう」

現在、頭のてっぺんから足先まで、すべて石鹸で洗っている。ミシェル様がリンスとは何ぞや、という顔で私を見ていた。

「リンスというのは、髪の毛に多くの効果をもたらしてくれるものなんです」

髪の毛には、キューティクルと呼ばれる髪の毛を美しく見せる膜がある。そのキューティクルは、髪を洗うとはがれやすくなってしまう。そこで、リンスがキューティクルを守ってくれるような働きをしてくれる。

他に、髪へ栄養分を与えてくれたり、乾燥やパサつきから守ってくれたりするのだ。

ミシェル様はリンスなんぞ使わずとも、つやつやとしたキューティクルがある美しい髪をお持ちだ。羨ましいにもほどがある。

特に手入れをしなくても、広い世界の中にきれいな人は存在するのだ。

ローレル石鹸を使い始めてから、髪質はいままでに比べてぐっとよくなった。けれど、寒くなるにつれて髪の毛がパサつくようになったのだ。そろそろ、リンスが必要だろう。
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