“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「ミシェル様、帰りましょう」

「ああ」

店主にお礼を言って、薬局をあとにする。

帰りの馬車の中で、ミシェル様がポツリと呟いた。

「レティーシア様について、探りを入れる必要がある」

「探り、というのは?」

「悪意を持ってアリアンヌお嬢様に接しているか否か」

「……」

イリスとドリスは、レティーシア様についてよく思っていないみたいだった。一方で、アリアンヌお嬢様が話すレティーシア様からは、悪い印象は与えない。姉思いの妹、といった感じだった。

「エリーはどう思う?」

「私は──わかりかねます。レティーシア様に会ったことはありませんし」

「そうか」

ガタゴトと、馬車が石畳を走る音だけが聞こえる。窓から太陽の光が差し込み、ミシェル様は眩しそうに目を細めていた。

「一度、レティーシア様と話をしに行こうと思う」

「それは、どのようなお話をしに行かれるのですか?」

「ストレートに、アリアンヌお嬢様に悪意があるのか、尋ねるわけではない。私の妹が美容クリームを欲しているので、どこで買ったか教えてくれないかと、聞いてみようと考えている」

「なるほど。いいかもしれないですね」

もしも、こちら側が証拠もなく疑った場合、相手を怒らせてしまう可能性もある。行動と言動は慎重にならなければ。

「そこで、お願いがあるのだが、レティーシア様との面会が叶った場合、エリーも一緒に私のお付きとして同行してくれないか?」

「それはもちろん」

「感謝する」

そんなわけで、後日、私とミシェル様はレティーシア様に探りを入れに行くことを決めた。
< 124 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop