“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「あ、ごめんなさい。暗い話をしてしまって」

なんとお言葉を返していいのか、わからない。メアリーさんとミシェル様も同じようなことを考えているのだろう。

ちょっぴり気まずい空気だったけれど、アリアンヌお嬢様がパン!と手を叩いて提案する。

「そうだわ。明日、庭に薔薇を見にいきましょう。お父様がわたくしのために作ってくれた『アリアンヌ』という品種の薔薇があるのよ」

「アリアンヌお嬢様と同じ名前の薔薇ですか」

「ええ、そう。わたくしの、大のお気に入り!」

庭師がついに咲いたと、知らせに来てくれたようだ。

「メアリーと、ミシェルと、エリー、それから、イリスにドリスも連れて行きましょう。本邸の庭だから、少し距離があるけれど」

「楽しみにしています」

「驚かないでね! とってもきれいでいい香りがするから」

「はい」

アリアンヌお嬢様に、気を使わせてしまったのか。空元気に見えなくもないけれど、以前まではそんなことをしてくれる余裕すらなかった。

私達も、なるべく明るくふるまうようにしなければ。
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