“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
夕食後、ミシェル様に呼び出される。なんと、レティーシア様から面会の返事が届いたらしい。

「今から会いたいと。エリーは大丈夫か?」

「ええ、大丈夫ですが」

離れと本邸は歩いて十五分、といったところか。

「なるべく厚い外套を用意しておいたほうがいい。夜は冷える」

「そうですね」

「すまない、こんな時間に付き合わせてしまい」

「いえいえ」

「何かあった時は、責任を取るから」

何かとは何だ。それに責任とは? 聞き返したら怖いことを言いそうなので、半笑いで「大丈夫ですよー」と流しておく。

分厚いダッフルコートにしようと思ったが、メアリーがそれでは寒いと毛皮のコートを貸してくれた。モッコモコで、野兎にでもなった気分だ。

レティーシア様との面会は非公式なものなので、裏口からこっそり出て行く。

「なんだか、今からミシェル様と駆け落ちするみたいですね」

「アリアンヌお嬢様が結婚するまでは、駆け落ちできない」

心の中で、「アリアンヌお嬢様が結婚していたら駆け落ちOKなんか~い」と突っ込んでおく。たまに、ミシェル様の発言は本気か冗談かわからない時がある。今回に限っては冗談だろうけれど。毎回、無表情なので判別がつきにくいのだ。
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