“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「それで、私に聞きたいことって、なんですの?」

「この美容クリームを、レティーシア様から贈ってもらったとアリアンヌお嬢様からお聞きしたのですが」

ミシェル様が懐から取り出したのは、防虫剤入りの美容クリーム。

対するレティーシア様は、表情など変わらずに、じっと美容クリームを見つめている。

「再来月が妹の誕生日で、同じ品物を送りたいと思い、この美容クリームを購入した店について、お聞きたいのですが」

レティーシア様は、アリアンヌお嬢様を陥れようとしてこれを渡したのか。それを今、直接探ろうとしているのだ。
「それは──ごめんなさい。記憶にありませんわ」

「記憶にない?」

「ええ。今までアリアンヌお義姉様へいくつか贈り物をしていたのですが、その中のひとつだったのでしょうか?」
しらばっくれているのか。それとも、本当にわからないのか。

もしもしらばっくれているのだとしたら、大した演技力である。ミシェル様は続けて質問を重ねる。

「この美容クリーム自体は、ご存じで?」

「いえ。あまり、覚えがなくて」

これも、嘘を吐いているようには見えなかった。

そのあともいくつか質問をしたものの、はっきりと証拠になるような証言を聞き出すことはできずに終わった。
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