“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「協力できなくて、ごめんなさい。よろしかったら、使用人に調べさせましょうか?」

「いえ、どうかお気遣いなく」

「ミシェル様さえよかったら、一緒に街へ探しに行ってもいいのだけれど」

「それはご遠慮いたします」

きっぱりとした口調で、ミシェル様はレティーシア様の申し出を断った。

「ミシェル様は、相変わらずですわね。わたくしのエスコートですら、してくださらない」

「私は、アリアンヌお嬢様の専属騎士ですので」

「いいえ、アリアンヌお義姉様が王太子妃候補になる前から、冷たかったですわ」

「……」

どうやらふたりは、以前から知り合いだったようだ。なんだか訳ありな空気が流れる。そして、私の場違い感が半端じゃない。

「まだ、間に合いますわ。アリアンヌお義姉様より、わたくしの騎士になっていたほうが、ラングロワ家のためになりますわ」

「誰にどうお仕えするかは、私が決めます。損得勘定で動いているわけではありませんので」

「わたくしに付いていればよかったと、後悔なさっても知りませんから」

「ありえないかと」

きっぱり言い切ったミシェル様に、レティーシア様はムッとした様子で叫んだ。

「そんなふうにたてついて、わたくしが王太子妃になった暁には、覚えていなさい!」

「ずいぶんと、自信があるようで」

「当たり前ですわ。わたくしは、血筋のよい男性と結婚するために、物心付いた時から厳しい教養を叩き込まれ、寝る間も惜しんで花嫁修業をしてきたのですから!」

「そして、王太子妃になるために、アリアンヌお嬢様を蹴落とすようなことをすると?」

「わたくし、そんな卑怯なことはしません‼」
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