“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
しばらく沈黙の時間を過ごす。先ほどから窓枠がガタガタと揺れている。今日は、風が強い。

ミシェル様は深い息を吐き、私に問いかけてくる。

「エリーは、レティーシア様についてどう思う?」

「この短時間で判断するのは、難しいですね」

「では、今日、個人的にどうを感じた?」

「そうですね。ミシェル様は、レティーシア様をわざと怒らせたのかなとか、思いました」

そう問いかけると、ミシェル様は目を伏せる。

「間違っていたらすみません。なんだか、いつものミシェル様らしくなくて」

「いいや、合っている。私はわざと、レティーシア様を煽るようなことを言った」

「やはり、そうでしたか……」

「感情が高ぶった時、人は本心を見せる。だから、わざと怒らせるようなことを言った」

──王太子妃になるために、アリアンヌお嬢様を蹴落とすようなことをすると?

このミシェル様の一言で、レティーシア様は激昂した。

──わたくし、そんな卑怯なことはしません‼

「あのレティーシア様の言葉は、嘘ではないと感じました」

「私も同感だ。しかし、まだ、レティーシア様がアリアンヌお嬢様に何もしていないとは言い切れない」

「ええ」

調査が必要だろう。まだ、レティーシア様が暗躍していると決めつけるのは早い。

「エリー、引き続き、調査に協力してくれるだろうか?」

「もちろんです」

「ありがとう」

ミシェル様は私の手を握りしめ、熱烈にお礼を言ってくれた。

ここに来てから、ミシェル様との物理的な距離が縮まったのは気のせいではないだろう。

ラングロワ家でラングロワ侯爵家の大奥様にお仕えしていた時は遠い存在だったのに……。どうしてこうなった。
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