“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
プリザーブドフラワーが完成したのと同時に、イリスとドリスが蒸留室にやってきた。ふたり共落ち込んでいる。

「大丈夫ですか?」

「アリアンヌお嬢様が泣き止まないから、悲しくて」

「どうして、アリアンヌお嬢様ばかり、悲しい目に遭うのだろう」

しょんぼりと肩を落とすふたりに、プリザーブドフラワーを見せてみる。

「これ、アリアンヌお嬢様の薔薇『アリアンヌ』を、一年ほど保存できるように加工したものなんです」

「え、きれい……!」

「す、すてき……!」

きっと、この花が朽ちる頃には、庭にたくさんの薔薇が咲いているだろう。それまで、アリアンヌお嬢様の心を慰めることができたらいいな。

早く持って行ったほうがいいというので、小走りでアリアンヌお嬢様の私室に向かった。

部屋の前には、ミシェル様が佇んでいた。表情は暗い。

「エリー」

「ミシェル様、アリアンヌお嬢様のご様子はいかがですか?」

「中で、伏せっておられる」

「会えるでしょうか?」

「聞いてみよう」
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