“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
ふと、二階を見上げたら、窓際で誰かと目が合った。すぐにカーテンが閉められる。

「あれは──」

「アリアンヌお嬢様だ。新しい侍女が、気になっていたのだろう」

「な、なるほど。そういえば、ここは何人くらいの人が働いているのですか?」

「二十名だ」

離れには、二十名の使用人がいるらしい。直接お世話をする侍女は、私と乳母だった女性だけのようだ。

まずは、アリアンヌお嬢様に紹介をとのことだったが、急にお腹が痛くなってしまったらしい。先に、使用人の休憩室にいる執事を紹介してくれた。

「彼女がアリアンヌお嬢様の侍女となる、エリー・グラスランドだ。ここで、住み込みで働く」

執事はテールコートを翻しながら、恭しく会釈してくれる。前髪を整髪剤できっちりと上げていて、立派な口髭を生やした四十前後のナイスミドルである。よくよく見たら目元に皺がないので、もしかしたら三十代半ばから、後半くらいなのかもしれない。

「何かわからないことがあれば、なんなりとお聞きになってください」

「はい、よろしくお願いいたします」

執事さんが、階下で働く使用人達に私を紹介してくれた。皆、優しい笑顔で迎えてくれた。

私がアリアンヌお嬢様の侍女になったことにより誰かの出世を阻み、その結果恨まれているのではと考えていたが杞憂だったようだ。
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