“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
仕事を終えて帰ろうとしたら、裏口にいた商人に引き止められる。

「ああ、あんた、よかった。この商品の検品をしてくれ」

「いえ、私は掃除メイドですので、担当の者を」

「さっきから待っているのに、来ないんだよ! ここの奥様が頼んでいた薬品だ」

薬品、という言葉に引っかかりを覚える。奥様はいったい、何を頼んだのか。

「わかりました。確認します」

「手早くしてくれ。ったく、面倒なことを請け負ってしまった」

注文書を手渡される。その一覧を見て、ぎょっとしてしまった。

専門的な言葉で書かれているが──水銀に砒素、鉛など、人体に悪影響を及ぼす毒物ばかりだった。

いったい、これらの毒物を何に使っているのか。

注文書には、たしかにデルフィネ様の文字で署名が書かれていた。思わず、注文書を持つ手が震えてしまった。

「ええ、た、確かに、すべてあります」

「じゃあ、帰るから」

「お疲れ様でした」
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