“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
私、エリー・グラスランドは、子どもの時から引っかかりを覚えることがあった。

石鹸の使い心地が物足りない、髪を洗う専用の洗剤はないのか、お風呂の入浴剤はどこに行ったら買える? などなど。両親に聞いても、首を捻るばかり。

グラスランド家はそこそこ裕福な家庭らしく、暮らしに不自由した覚えはない。それなのに、私は今ある以上の物を求めていた。

私が求めるバス用品や化粧品を探す中で、家庭教師があることを教えてくれる。

社交界の中でも、上流階級(ハイソサエティー)に属する女性ならば、私が望むような品々を知っているだろうと。

実家は歴史の浅い子爵家であるため、上流階級の女性と知り合う機会なんてない。上流階級の男性との結婚も、夢のまた夢だ。

だったら、どうすればいいのか。

その答えは、すぐに思いつく。上流階級の女性にお仕えすればいいのだと。

幸い、私は姉妹が七人もいて、父親は結婚相手探しに苦労していた。花嫁修業として、貴族の家で奉公したいと望んでも、止められることはなかった。

結婚した姉の紹介で、私はラングロワ侯爵家の大奥様付きの侍女となった。
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