“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
十四歳になった私は、喜んで働くこととなったが──歴史ある侯爵家のラングロワ侯爵家の大奥様でさえ、ブクブク泡立つ石鹸など知らないという。

ラングロワ侯爵家の大奥様は、現国王陛下の妹。ラングロワ侯爵家に臣籍降下した尊い御方なのだ。王族であった御方が知らないというのならば、ブクブク泡立つ石鹸などこの世に存在しないのだろう。

私が望む品々は、おとぎ話に出てくるような架空の物だったのか。そんなことすら、思うほどだった。その後、それらのことは忘れてラングロワ侯爵家の大奥様に真面目にお仕えしていた。旦那様を亡くし、意気消沈していたが、日に日に元気になるご様子を見守ることは、とても嬉しいことだった。

ラングロワ侯爵家の大奥様は優しい御方で、下級貴族である私にも優しくしてくれた。ラングロワ侯爵家の大奥様だけでなく、ふたつ年上のご子息ミシェル様も、私に優しくしてくれたのだ。

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