“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「わたくしも、レティーシアに贈り物があるのよ」

そう言って、アリアンヌお嬢様は木箱に入った薔薇のプリザーブドフラワーをレティーシア様に手渡した。

「これは──」

「あなたをイメージした薔薇なの。プリザーブドフラワーと言って、一年くらい枯れないのよ」

「きれい……。これが、私……?」

「ええ。ブリランテという品種で──」

アリアンヌお嬢様はぎょっとした表情でレティーシア様を見る。大粒の涙を零していたからだ。

「レ、レティーシア、ど、どうしたの?」

「アリアンヌお義姉様、ごめんなさい……」

「え、何が?」

「王太子妃候補になって、本当に、ごめんなさい」

「え?」

アリアンヌお嬢様が必死になって慰めたので、レティーシア様はすぐに泣き止んだ。

「わ、私は、別に、王太子様と結婚したいわけでは、な、なくて……。王太子様と結婚したら、す、好きな人を、傍に置けるって、お母様が言う、から……」

せっかく泣き止ませたのに、レティーシア様は再び泣き出す。
< 203 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop