“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
アリアンヌお嬢様は乳母を盾にするように、身を隠していた。

「アリアンヌお嬢様、彼女が以前お話した、エリー・グラスランドです」

「……」

「ど、どうも。エリー・グラスランド、です」

深々と頭を下げる。許しが出るまで顔を上げることはできないが、アリアンヌお嬢様はいっこうに何も言ってこない。
「エリー、もう、大丈夫だ。頭は上げても構わない」

「は、はあ」

顔を上げ、アリアンヌお嬢様のほうを見る。ふいと、顔を逸らされてしまった。

「おやおや、アリアンヌお嬢様、恥ずかしいんですか? 優しそうな、お方ですよ?」

「……」

アリアンヌお嬢様は乳母にくっつき、顔を埋めている。私とは、話したくないようだ。

「エリーさん、すみませんねえ。アリアンヌお嬢様、愛想というものを、その辺に落としてきてしまったようで」

「そ、そうでしたか。では明日、ウォール・ガーデンの中を探してみますね」

あはははは、と空元気を振りまいて、部屋から出て行く。
< 21 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop