“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「あなた──」

「!」

突然の人の気配に驚く。デルフィネ様が、腕組みして私を睨みつけていた。

「掃除メイド、マリーは、あなただったのね。 それから、商人からの注文書、あなたが持っていたことは聞いたわ」

ドキン!と、今までにないほど心臓が大きく鼓動する。どうやら、潜入と注文書を持ち帰ったことがバレてしまったようだ。

「こっちに来なさい!」

「きゃあ!」

デルフィネ様はひとりではなかった。数名の男を引き連れていた。私の羽交い締めにし、どこかへ連行しようとしてくれる。

「こんな子鼠、さっさと処分しておけばよかったわ! 本当に、目障りな女!」

「あなたは、なぜ、こんなことを──」

「お黙りなさい!」

パン!と音が鳴り、頬に鋭い痛みが走った。頬がチリチリと痛む。どうやら、デルフィネ様の長い爪が、叩いたのと同時に頬を切り裂いたようだ。傷は深かったようで、頬に生温かい血が伝っていくのを感じた。
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