“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
ひんやりと、冷たい布が額に置かれてハッとなる。

瞼を開くと、春を迎えた新緑の森のような瞳と視線が交わった。

「きゃあ!」

悲鳴が上がり、ガタガタと物音が鳴り響く。

視線をそこに向けた先には、喪服の少女がいた。顔を逸らした姿で蹲っている。

「あ、あなた様は──」

「アリアンヌお嬢様! すみません、失礼いたします」

そう言って入ってきたのは、ミシェル様だった。

アリアンヌお嬢様に寄り添い、無事か確認する。廊下にいたメイドに命じ、部屋に連れて行くよう命じていた。

アリアンヌお嬢様が、私の看病をしていたと?

驚いた。私はただの使用人なのに。

「エリー、大丈夫か?」

「え?」

「昨日の夕方、浴室で倒れたと聞いて」

「あー……。はい。平気です」

前世の記憶が戻ったのと同時に、私は意識を失っていたようだ。
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