“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
「猫、大好きなの。でも、毛を吸い込むとくしゃみが止まらなくて」

「そうなのですね」

猫の話をしている時は、年相応の可愛らしい少女に見える。なぜ、年端も行かないアリアンヌお嬢様が、こんなにおつらい目に遭っているのか。

肌の荒れ具合を見ていたら、相当精神的に参っていることがわかる。

青白い肌にニキビがポツポツと赤く腫れていて、実に痛々しい。クリームを塗る前に、ふと疑問に思う。

「あの、お嬢様、こちらは、どのようなクリームなのでしょうか?」

「どうして?」

「いえ、もしかしたら、肌に合っていないのでは、と思って……」

「それは、肌を綺麗にするクリームで、レティーシア、妹から誕生日にもらった贈り物なの」

もう、一ヵ月もこのクリームを使っているらしい。

「そう、だったのですね」

「とっておきの、美肌クリームだそうよ」

「……」

もしかしたら、このクリームがアリアンヌお嬢様の肌質に合っていないのかもしれない。このクリームを塗るより、抗菌作用の高いローリエオイルの石鹸を使ったほうが、よほど効果があるだろう。
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