“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
話をしている間に、錬金術師の塔に辿り着いた。

「はー! 高いですね」

蜂蜜色の煉瓦で立てられた、天を衝くような高い塔である。先端は、肉眼では見えない。

出入り口に見張りの騎士に挨拶しているところに、馬車がもう一台やってきた。王家の者だという証の、双頭の竜を模った旗が目に飛び込んできて、ぎょっとする。

双頭の竜は、王族の証だ。

ミシェル様は頭を垂れる。私も慌てて真似をした。

馬車が停止し、誰かが下りてくる。王族直々に、国家錬金術師に会いに来たのか。

「やあ、ミシェルではないか!」

溌剌とした、明るい声だ。

「もしかして、ミシェルも錬金術師と連絡がつかなくて、直接やってきたのかい?」

「連絡する前に、直接やって来ました」

「それが正解だよ。奴らは、相手が誰だろうと、自分がしたいことを優先する困った生き物だからね。そっちの君も、頭を上げてくれ」

ポンと肩を叩かれる。恐る恐る顔を上げると、少年と青年の間くらいの、男性がにっこり微笑みながら私を見ていた。
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