“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
塔の内部は薄暗くて、ひんやりしている。上を見上げたら、螺旋階段が壁に沿うように作られてあった。

ここが、錬金術師が日夜仕事を行う工房となる。現在、八名の錬金術師が働いているようだ。

国家錬金術師の平均年齢は、四十五歳。ソール・ジルヴィーが入って、ちょっぴり下がったらしい。

ミシェル様は出入り口の棚から魔石灯を手に取り、持ち手に彫られている呪文を指先で擦った。すると、灯りが点く。

「エリー、行こう」

「はい」

ソール・ジルヴィーの研究所は地下一階にあるという。地下へ繋がる螺旋階段を、ゆっくり下りていった。

階段は魔法仕掛けのようで、足を突くとほんのり光る。

「すごくきれい」

「エリー、足元ばかり見ていたら転ぶ」

「はい、そうですね」

カツン、カツンという足音が、塔の中に響き渡っている。それ以外に、すんすんとすすり泣くような声が聞こえ、背筋がゾッとした。

「え、な、なんですか、この声は?」

「きっと、ソールの弟子の声だろう」

「お弟子さん、ですか?」

「そうだ」

聞こえる声は野太い。とても、すすり泣きするような年代ではないような気がするけれど……。

そんなことを考えながら、螺旋階段を下りて行った。
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