“自称”人並み会社員でしたが、転生したら侍女になりました
地下部屋には重厚な二枚扉があり、その前で白衣を纏ったふたりの中年男性がすすり泣いていた。

「お、お師匠様ー、お願いです、論文を読んでくださいー!」

「わ、わたくしめは、課題の魔法霊薬の確認をー!」

私達の到着に気づいた中年男性ふたりが、縋るような視線を向けてきた。

「貴殿らは、ソールの弟子か?」

「はい、そうです」

「間違いありません」

錬金術師は師匠のもとで錬金術を習う。数少ない錬金術師ひとりにつき、大勢の弟子を抱えているようだ。

「もう、二日も籠城されていて……」

「いくら声をかけても、開かないのです」

「生きているのか?」

「はい」

「たまに、うるさいと扉を蹴ってきます」

とんだ暴君だ。なんでも、ソール・ジルヴィーは偏屈な上に変り者と言われている。夢中になることがあれば、平気で一ヵ月も部屋から出てこないことがあるようだ。
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