愛のかたち
8.緊急事態
『もう・・、散々だったよ。うちのお姉ちゃん達ったら・・。』

わたしは友美に昨日のことを放課後のHRのときに呆れるように言った。


友美は笑って聞きながらも

『咲貴は紹介できるからいいよねー。うち親こわいから彼氏いるってことすら喋ってないよ。』

淋しそうに友美は言った。

わたしはそっか。ということしか出来なかった。

やっぱり厳しいと大変だよね。


でも友美たちも順調に続いていて拓也くんが優しい優しいといつも惚気ていた。

そんな友美にそんな悩みがあったとは知らなかった。



『じゃあ体育祭と文化祭について実行委員を決めたいと思います。』




わたしたちがそんな話をしているときに学級委員の人が言っていた。

『あー、もうそんな時期か。』

わたしは呟いた。


うちの学校は11月に体育祭と文化祭を2日続けてやることになっている。

1日目が体育祭、2日目は文化祭。


『咲貴、またミスコン選ばれるんじゃないの~??』

その言葉に過敏に反応して

『げっ、まじ嫌!!』

わたしは去年、ミスコンのクラス代表に勝手にされて全校に代表者の顔写真を張り出され、わたしは全校の投票で3位に選ばれたのだ。

恥ずかしくて死にたいと思ったのはあれが初めてだった。



HRで体育祭と文化祭の実行委員は自薦ですぐに全て決まった。


『それでは文化祭のミスコンの代表者を投票してもらいます。』

学級委員がそう言ってクラス全員に小さな白い紙を配った。

わたしは嫌がらせで友美の名前を書いて回収している人に渡した。


今年は・・わたしじゃありませんように・・・・。


わたしは目立つことがあまり好きじゃないので張り出されて『あの子ミスコンに出る子じゃん。』とか言われるのが苦痛だった。


そして学級委員2人が紙に名前を書いて集計していた。


5分後くらいに


『38人中、29票集まった新垣さんに決まりました。』


友美はその瞬間ニヤけて振り返り、他の人はわたしを見ながら拍手していた。

わたしは嫌そうな顔を思いっきりしていた。
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