愛のかたち
『俺が咲貴ちゃんに会いたかったの。』

恵介くんが大きい声で言った。


バカ、店中聞こえちゃうじゃんっ!!


そう思ってたら

『お前声でかいって。』

ボソッと俊くんが俊くんを軽く叩きながら言った。


『ごめん、仕事中で・・。あんまり話せないけど借りるとき言ってくれたらサービスするから。じゃあ。』



そう言ってわたしはまた返却されたものを売り場に戻し始めた。



『新垣さん。』

そのときすっごく嫌な声が後ろから聞こえた。

間違いなく沢村さん。

『なんですか??』

『レジ、しなさいよ。何さぼってんの?』

返却されたものを戻してるのにサボってるといわれてわたしはイライラしたけど、原口さんのことで沢村さんもイライラしてるだろうと思い、わたしははーい。と言ってレジに向かった。


言い返すとめんどくさいことになりそうだし。



レジに行くと店長だけがいて、店長が

『レンタル落ちに値札貼って。』

と指示をくれたのでそれをお客さんがいないときはやっていた。


すると俊くんたちがお笑いのDVDを持ってお金を払いに来たので、わたしはレジに立った。

『一週間レンタルで無料券頂いたので本日お代は結構です。』

無料券なんてなかったんだけど、店長がいたのでこの言葉を言って無料券をもらったかのように装った。


『さっきの、大変そうだね。あの人はお局様??』

俊くんが笑いながら沢村さんのことを言った。

『まじ大変なの。』

わたしも嫌な顔をしながら笑いながら言った。


わたしたちが笑い合っているところを原口さんは遠くから見ていたのにわたしは俊くんたちが帰るときに気付いた。


やっぱ・・まずかったかな???
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