新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「ううん、これはたぶん、ホッとした涙なの。皐月くんが来てくれて、うれしかったよ。ありがとう」



目には涙がいっぱいに溜まっているけれど、なんとか笑顔を見せてお礼を言った。

私を見下ろして、皐月くんはまだ苦しげな表情だ。

その指先が、そっと私の頬にある濡れた筋を撫でる。



「……とりあえず、家に帰ろう。歩けるか?」



訊ねられ、うなずいてからなんとか立ち上がった。

若干覚束ない足取りの私を皐月くんが支えてくれながら、家路を急ぐ。

自宅マンションの部屋にたどり着くと、私は問答無用でソファに座らせられた。

皐月くんは私がスーパーで買った食材を手際よく冷蔵庫や食料庫にしまったあと、ふたり分のコーヒーを淹れてリビングへと戻ってくる。



「はい。礼が淹れてくれるコーヒーほど美味しくはないけど」

「そんなことないよ。ありがとう」



いつも私が使っているマグカップを差し出しながら自虐的に言った彼へ、笑顔で伝えた。

皐月くんも少しだけ微笑むと、自分のマグカップをローテーブルに置いて隣に腰を下ろす。
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