新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
彼と触れていない、マグカップを持つ手を、ぎゅっと握りしめる。

少しずつ積み重なり、拭い去れずにいた違和感が、今ひとつの大きな疑念となって、私の心を覆っていた。



「……ねぇ、皐月くん」



渇いた喉の奥から、なんとか声をしぼり出す。

頭が重い。頭痛はどんどんひどくなっていた。

まるで、警鐘を鳴らすかのように。



「私たちって──本当に、結婚してるんだよね?」



顔を背けたくなる衝動を抑え、皐月くんの瞳を見据えながら訊ねる。

目をみはった彼は、少しの間のあと口を開いた。



「……今さらどうしたんだ。去年の俺の誕生日に、間違いなく入籍してるよ。信じられないなら、戸籍謄本取ってきてみせようか?」



私は首を横に振る。

そうじゃない。婚姻届とか、形式上の話じゃない。

私たちは、本物の──……。



「皐月くんと、私は……本当に普通の、“夫婦”だった?」
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