新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
胸が苦しくて顔を歪めながら、また違う言い回しで確かめる。

私の問いかけを聞いた皐月くんは、じっと視線を逸らさずにしばし無言だった。

ふたりきりのリビングには、降り出した雨の音しか聞こえない。

そのしじまの中、彼が観念したように目を伏せて息を吐いた。



「……やっぱり記憶がなくても、わかるものなんだな」



心臓がドクンと大きく鼓動する。

私の左手に重ねられていた彼の手のひらが、するりと離れていった。



「礼が疑っている通りだ。俺たちは本当の意味で、世間一般的な普通の“夫婦”とは違っていた」



再び私と目を合わせた皐月くんが、どこか痛そうな表情で言い放つ。



「俺と礼は、恋愛の結果一緒になったわけじゃない。お互いの利害の一致で決めた、見せかけの関係──いわゆる、契約結婚だったんだ」
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