新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「そんなとき、礼とふたりで食事をする機会があったんだ。話をしてるうち、事情は違えどおまえはおまえで不自由な思いをしてることを知った。けどそれは、もしかしたら互いに形式上だけでも結婚することで、解決するかもしれないと気づいて……礼も俺と同じように、一生結婚するつもりがないことはもともと聞いてわかっていた。だから俺は、その場でおまえに書類上だけの契約結婚を提案したんだ。礼となら……いいパートナーとして、うまくやっていけると思ったから。おまえもその話に乗ってくれて、次の年の5月には入籍を済ませた」



にわかには信じがたい話だった。

だって、少なくとも22歳の今の私には、結婚願望がある。

誰かのお嫁さんになって、いつか母親になって……そんな平凡で幸せな未来を、自然に思い描いていたのだ。



「私、一生結婚するつもりないって……それは、自分で話してた?」



訊ねずにはいられなかった。

そんな私に、皐月くんは苦い表情でうなずく。



「ああ、そうだ。菊池たちの……結婚式の二次会が終わって、駅に向かって歩いているときだった。偶然俺たちふたりきりになったそのときに、たぶん結構酒を飲んでいたせいもあるのか、教えてくれたよ。……これ以上ないくらい一生分好きになった人に、叶わない恋をしてるから……もう、他の人を好きになれる気がしないって。だから一生、結婚できないんだって」



聞かされたのは、数年後の自分の、あまりにも切なすぎる事情。

想像を超えた話に言葉が見つからず、私は押し黙る。
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