新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
『それは、宮坂の方だろ』

『えー? うーん、そうかな』



じっと向けられた視線に困ってしまい、はぐらかしながら枝豆に手を伸ばす。

そうして、少し迷った末に話を続けた。



『実は……私ね、そろそろ今の会社辞めて、自分の夢を叶えるための準備をしたいなって思ってるの』



私の突然の告白に、越智くんが驚いて動きを止めた。



『夢って、喫茶店の? 宮坂、辞めるのか?』

『はっきりいつかは決めてないけど、そのつもり。でもねぇ、現実問題、女ひとりが何のサポートもなく夢追いかけながら都会で生活していくのって、たぶん結構厳しいよね。ほら私、実家も遠いし』



話しながら、苦く笑う。



『それこそ結婚でもすれば、生活基盤は安定するんだろうけど……まあ、こんなの甘えた考えだよね。選択肢は狭まるけど、地元に戻るのもひとつの手かな』



そこまで言った私は、テーブルの向こうの彼がしばらく黙ったままでいることに気づいた。

そんな様子を不思議に思い、声をかける。



『越智くん?』

『……宮坂。先に言っとくが今の俺は酒を飲んではいるけど、自分が何を見て聞いて話しているかくらいわかっているし、自分の発言には常にきちんと責任を持っているつもりだ。そこを理解したうえで、聞いて欲しい』

『うん……?』



無言で手もとのジョッキを睨んでいたかと思えば、越智くんは突然饒舌にしゃべり出す。

ますます首をかしげた私に、なおも彼は続ける。



『これは、冗談でも何でもない、大真面目な提案だ。……なあ、宮坂』



つぶやいた越智くんが、うつむき気味だった顔を上げた。

まっすぐに私と視線を交わし、彼は言う。



『俺と、結婚しないか?』
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