新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「……ッう……」

「礼?!」



ズキンと強く頭痛が走って、顔をしかめながらひたいに片手をあてた。

焦った声を上げた皐月くんが、すぐに首を傾けてこちらの様子を確認しようとする。

そんな彼を、もう片方の手のひらを挙げて制した。



「だい、じょうぶだから……」



本当は、かなり辛かった。だけどこれ以上心配を──迷惑をかけてしまわないよう、あえてその優しさを遠ざける。

右手に持ったままだったマグカップをローテーブルに置いて、ソファに深く身体を預けながら息を吐く。

……そっか。皐月くんは、煩わしい周囲を黙らせるため。

そして私は、自分が夢を追うための基盤を安定させるために、お互いを利用したんだ。

きっと、どちらも最低。だけど彼と私にとって、その最低な思惑を一度に解決できる最善な方法が、この契約結婚だった。

記憶を失くしてから初めてこの家を訪れたとき目にした、別々に置かれた2台のベッドを思い出す。

私は自然と、口を開いていた。



「お互いに、恋愛感情はなかったなら……つまり私たちの生活は、友達同士のシェアハウスみたいなものだったってこと?」

「……そうだな」



まだ心配そうな表情ながらうなずいた皐月くんに、続けて訊ねる。
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