新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
いつの間にか眠ってしまっていた私が次に気づいたとき、明るかったはずの室内は暗闇に包まれていた。

目を擦りながら、ベッドの上でむくりと身体を起こす。

なんとなく身体の重だるさはあったけれど、あんなにひどかった頭痛が今は嘘のように消え、妙に頭はスッキリとしていた。

ベッドボードに置いた目覚まし時計を確認すると、今は夜中の1時過ぎ。

まさか9時間近くも寝ていたとは思わなくて、驚きながらベッドから下りる。

そっと、自室から廊下に顔を出してみた。
リビングの明かりは消えていて、物音もしない。どうやら、皐月くんはもう寝てしまっているようだ。

私はホッと吐息を漏らしながら一旦部屋の中に戻って着替えを準備し、それを持って静かに廊下へと出る。

エアコンをつけっぱなしにして眠っていたとはいえ、日中外を歩いて汗をかいたから、このままだと気持ち悪い。

浴室で軽くシャワーを浴び、ルームウェアに着替えた私は、キッチンの小さな照明だけをつけて冷蔵庫を開けた。

常にストックしてあるストレートティーのペットボトルを取ろうとして、ふと気づく。

ちょうど目線の高さのところにコンビニのものらしきビニール袋があって、【礼へ】と書かれたふせんが貼ってあった。



「……皐月くんの字だ」



ペットボトルと一緒にその袋も取り出し、キッチンカウンターに載せて中を覗く。

入っていたのは、私が前に好きだと言ったたまごサンドとプリン。

そして【よだふく庵のじゃなくて悪い。食べられそうなら、食べて】と走り書きされたメモだった。

小さなそのメモを手にしながら、彼の気遣いにきゅうっと胸が締めつけられる。
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