新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
言い訳のように胸の奥でぐるぐる唱えつつ、ふと思い出すのは先日の出来事だ。

ほのかと菊池くんの家からの帰り道──なぜだか急に、涙があふれて止まらなくなった。

あれは一体、なんだったのだろう。
ただあのときの私は、とても悲しくて……だけど、その理由はわからなかった。

きっとあの不可思議な現象も、今は忘れてしまっている記憶が関係しているのだろう。

皐月くんははぐらかしたけれど、一瞬だけ感じたデジャヴも気になるし……。

プロポーズの瞬間を思い出した際のなんともいえない感情といい、せっかく取り戻した記憶についても、わからないことが多すぎる。

前にも来たことがあるのなら、この花火大会でも何か思い出せればいいな。

彼の隣で、私はひそかに期待を寄せるのだった。
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