新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
表情を隠していた髪に触れたことで、きっと耳まで赤くなっているであろう私に、皐月くんは気づいたと思う。
彼が息を呑む気配がして、少しの間お互いに無言が続いた。
「……礼」
沈黙を破ったのは、私の名前を呼ぶ皐月くんの声。
けれどもこちらが返事をするより早く、落ちつかないこの空気を切り裂くように電話の着信音が鳴り響いた。
音は、自分の手にしているかご巾着からじゃない。
顔を上げて視線を向けた先で、皐月くんが自分のボディバッグからスマホを取り出した。
ディスプレイを見た彼が、僅かに眉をひそめる。
「……実家からだ。ごめん、ちょっと話してくる。すぐ戻るから、ここで待っててくれ」
「あ」
言うが早いか、皐月くんは踵を返してスマホを耳にあてた。
かろうじて、彼が「もしもし」と少し不機嫌な声音で発したのが聞こえたけれど、その背中はすぐに人波の向こうへと消えてしまう。
……行っちゃった。
残された私は、とりあえず言われた通りにこの場所で待とうと道の脇に避ける。
ふうとため息を吐いてから、再び手もとのあんず飴へと視線を落とした。
顔、真っ赤になってたの……皐月くんきっと、気づいたよね。
恥ずかしい。この程度のことで、こんなにも動揺しているなんて。
……私にとっては全然『この程度』に思えないから、困ってしまっているのだけど。
彼が息を呑む気配がして、少しの間お互いに無言が続いた。
「……礼」
沈黙を破ったのは、私の名前を呼ぶ皐月くんの声。
けれどもこちらが返事をするより早く、落ちつかないこの空気を切り裂くように電話の着信音が鳴り響いた。
音は、自分の手にしているかご巾着からじゃない。
顔を上げて視線を向けた先で、皐月くんが自分のボディバッグからスマホを取り出した。
ディスプレイを見た彼が、僅かに眉をひそめる。
「……実家からだ。ごめん、ちょっと話してくる。すぐ戻るから、ここで待っててくれ」
「あ」
言うが早いか、皐月くんは踵を返してスマホを耳にあてた。
かろうじて、彼が「もしもし」と少し不機嫌な声音で発したのが聞こえたけれど、その背中はすぐに人波の向こうへと消えてしまう。
……行っちゃった。
残された私は、とりあえず言われた通りにこの場所で待とうと道の脇に避ける。
ふうとため息を吐いてから、再び手もとのあんず飴へと視線を落とした。
顔、真っ赤になってたの……皐月くんきっと、気づいたよね。
恥ずかしい。この程度のことで、こんなにも動揺しているなんて。
……私にとっては全然『この程度』に思えないから、困ってしまっているのだけど。