好きになるには理由があります
 そう深月が言うと、陽太は少し考えたあとで、
「わかった。
 舞おう」
と言ってきた。

「えっ? ほんとですかっ?」

 何故、急にっ、と思う深月に、陽太は言う。

「巫女舞をしなければならないお前を穢してしまったことだし。

 その詫びに協力するという形を取るのなら、やぶさかではない。

 だが……」

 ちょうど漁港に着いたところだったので、船をとめた陽太は、ひょいと深月を抱きかかえた。

 ひっ、と固まる深月の顔を見つめ、陽太は、
「だが、なにも記憶がないのに責任を取らされるのは嫌だ」
と言い出す。

 陽太はそのまま深月を抱いて、寝室の方に行こうとした。
< 106 / 511 >

この作品をシェア

pagetop